○年末の恒例企画自主フェスも、今年で20回目。この長い年月とまるで呼応するような存在のリメイク版『闇打つ心臓』を特別上映。自主映画作家を迎えてのトークイベントなど、節目として例年以上にバラエティに富んだ企画をお届けします。 Aプロ ●国道20号線 一昨年に上映した『雲の上』で観る者を驚愕させ、矢崎仁司監督一押しの富田克也監督最新作。パチンコ屋とサラ金のATMが目立つ郊外の国道沿い。だらけた日常に埋没した元暴走族の青年の姿が生々しく浮き彫りにされる。78分。 Bプロ ●JAPONICA VIRUS 冨永昌敬監督の後輩に当たり、『パビリオン山椒魚』にもスタッフ参加した入江悠監督。謎の感染症カニエ・ウイルスが蔓延する中、兄の遺骨を持って故郷へと向かう陽一郎(斉藤陽一郎)。ロードムービーの体裁をとりながら、政治対立やパニック描写など、随所に才能がきらめく。94分。 Cプロ ●このすばらしきせかい 素行不良の叔父(古館寛治)を迎えることになった引きこもりの高校生涼一。いい加減ながらなんだか楽しげな叔父の様子は彼の気持ちを解きほぐす。古館など劇団青年団の俳優たちが見事に映画世界に馴染んでいる。沖田修一監督作品72分。 Dプロ ○ライフ・シネマティック 黒澤明文化振興財団が主催する「黒澤明記念ショートフィルム・コンペ」の第1回入賞作品集。グランプリの『The Kitchen』はオーストラリアから応募されるなど、国内のみならず多様な短編映画が集められた。『進め!』は『このすばらしきせかい』と同じく沖田監督作品。計80分。 Eプロ 存在しない猫に脅える室内劇『赤猫』(大工原正樹監督)。井原西鶴を大胆に映画化した『死なば諸共』(西山洋市監督)。意味不明の言葉とともに自殺した男に遺された者たちの『西みがき』(井川耕一郎監督)。映画美学校を中心に、プロとアマが関わりあい、自主映画の方向性を探る作品群。計114分。 特別上映 ●闇打つ心臓 1982年の長崎俊一監督の伝説的自主映画『闇打つ心臓』。ざらついた8ミリフイルムの映像が印象的な、息苦しいほど深い夜の闇の底に潜む男と女の物語だ。若き日の内藤剛史と室井滋が演じたふたりは、赤ん坊を殺し、逃げ隠れていたのだった。23年を経て、この傑作のリメイク化が目論まれる。オリジナルキャストと対称をなすように、ほぼ同じ境遇の若いふたり(本多章一と江口のりこ)が配され、内藤と室井も再会を果たす。製作過程のドキュメント(?)とオリジナル版の映像もはさまれて重層かつ重奏的に進む映画は、大友良英の音楽の重い響きとともに、いつしかすべての境界を呑込ながら、時間を超越して、大きくうねる。104分。 |
2006 12/21
12/22
12/23
連日 夜8:30〜 何でも持って来い!
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