●低開発の記憶─メモリアス─ Memorias del Subdesarrollo 『苺とチョコレート』('93)で知られる、キューバを代表する名匠トマス・グティエレス・アレアの、1968年の作品。公開時にはニューヨークタイムズのベスト10に入選。後にベニチオ・デル・トロは自身の愛する映画ベスト5に、ガエル・ガルシア・ベルナルは最も影響を受けた1本に選んだ。キューバ映画史上に燦然と輝くこの名作が、40年の時を経、遂に日本公開される。 1961年ハバナ。カストロの社会主義国宣言を機に、キューバの富裕層の多くは、次々とアメリカへ亡命していった。家族や友人たちも当たり前のように出国していく中、セルヒオは一人キューバに残る。煩わしい妻から解放され、念願の小説でも書こうと意気込むが、さっぱり筆は進まない。国の変化にもリアリティが感じられず、街で出会った女優志望の美しい娘エレーナを口説くことに全力を挙げる日々。あげくエレーナの家族から訴えられ……。 鮮烈なモノクロ映像は、当時のキューバを伝える貴重なドキュメントであると同時に、時代からはずれていく男の焦燥感を、切実に描き出す。数多ある新作を凌駕する、瑞々しい傑作だ。97分。 |
2007 7/7(土) 〜7/13(金)
当日券のみ 一 般 1500円 大学生 1400円 シニア 1000円 中高予 1200円 会 員 1200円 |
監督・脚本 トマス・グティエレス・アレア
原作・脚本 エドムンド・デスエノス
出演 セルヒオ・コリエリ、デイジー・グラナドス ほか
1968年 104分