○昨年で没後50年を迎えた巨匠、溝口健二監督。KUROSAWA、OZU以上に海外で高い評価を受け続ける大巨匠の、中期の作品を大特集。後期の重厚さとは一味違う魅力を堪能してください! ●祗園の姉妹 京都・祗園の芸者姉妹の物語。馴染みの男に尽くす姉梅吉と、勝ち気な妹おもちゃ。姉のために、次々と男たちを籠絡するおもちゃだが、いつしか恨みも買い……。69分。 ●殘菊物語 歌舞伎界の因習とそれを打ち破る気概を描いた、溝口芸道物の神髄ともいうべき傑作。名優の養子としてちやほやされた菊之助は、自らを律するために大阪へ。流転する人生はさらにドサ回りへと続くが、献身的な女が彼を支える。143分。 ●元禄忠臣蔵〈前篇〉 見せ物ではない作品を目指し、原寸大の松の廊下のセットを組んだことで知られる、史実にリアルに密着した「忠臣蔵」。公開前後に真珠湾攻撃があったという意味では社会的に転換期の作品とも言える。112分。 ●元禄忠臣蔵〈後篇〉 お決まりの「吉良邸討ち入り」がない、異色の作品。クライマックスは、四十七士の切腹シーンだが、戦中だけに忠義第一の世相を反映しつつも、人間ドラマとして深い余韻を残す演出は溝口健二ならではの重量感を持つ。106分。 ●浪華悲歌 父親が会社の金を使い込んだのを切っ掛けに、次々と男に身をまかす娘・アヤ子(山田五十鈴)。殺伐とした世相を、カラカラに渇いた描写で冷徹に切り取る悲喜劇。71分。 ●西鶴一代女 若党との不義密通を咎められて、御所から追放されるも、運命と男たちに翻弄され続ける女(田中絹代)の生涯を描くカリカチュア。皮肉に満ちた描写の中で、若き日の三船敏郎がやや浮いた印象ながら、凛々しく光る。136分。 ●マリヤのお雪 モーパッサンの『脂肪の塊』を、西南戦争を舞台に、川口松太郎が翻案した舞台劇「乗合馬車」を映画化。官軍支配下の町から逃げる有力者と酌婦の一行の旅路を描く。溝口作品には珍しく銃撃戦もあり。80分。 ★瀧の白糸 恋人のために命を削りながら舞台に立つ水芸の太夫の生涯を描く、サイレント期屈指の傑作。泉鏡花の原作を元に、古典的メロドラマの原点が幻想的に花開く。102分。 ●雪夫人絵図 昼は天使、夜は妖女のイメージを、舟橋聖一のベストセラー小説に彫り込む。華族の末裔ながら、不実な夫と不運に見舞われ、坂道を転げ落ちるように人生の末路を迎える女・雪を、木暮実千代が好演。85分。 ★歌麿をめぐる五人の女 有名浮世絵画家喜多川歌麿を狂言まわしに、彼と関わりを持った女たちの確執を物語化。山東京伝や十返舎一九など江戸文化の体現者たちが軽妙なやり取りを見せる、洒脱なコメディー。95分。 ※★作品は東京国立近代美術館フィルムセンター所蔵作品。 |
2007
当日券 (1作品のみ) 一 般 1400円 大学生 1300円 シニア 1000円 中高予 1000円 会 員 1200円 前売券 (3作品のみ) 3300円均一 |