日本でもファンの多いドキュメンタリー作家ニコラ・フィリベール。未公開作も織り交ぜて、彼の全貌に迫る特集上映です。 ●かつて、ノルマンディーで Retour en Normandie 1975年にフィリベールが参加した長編映画『私 ピエール・リヴィエールは母と妹と弟を殺害した』。19世紀の尊属殺人事件を、事件の村で村人たちに演じさせた野心作だが、時を経て再会した人々は、思い出を誰もが楽しげに語る。映画の奇跡を信じさせる113分。 ●動物、動物たち Un Animal,des Animaux フランス国立自然史博物館が30年ぶりにリニューアルされる過程を追った作品。年代物の剥製標本が、新たな命を吹き込まれて蘇る。お得意の博物館バックステージモノの傑作。59分。併映は、1937年にツール・ド・フランスで優勝した往年の名自転車選手ロジェ・ラぺビーと並走する『行け、ラぺビー!』(Vas-y Lapebie!)27分。 ○フィリベールの名を一躍知らしめた山岳映画シリーズ。最高のクライマー、クリストフ・プロフィとのチャレンジの数々は国際的な映画祭で数々の賞を受けた。●カマンベールの北壁 La Face nord du camembert ●クリストフ Christophe ●たった1人のトリロジー〜クリストフ・プロフィのアルプス三大北壁単独登攀 Trilogie pour un homme seul ●バケのカムバック Le Come-back de Baquet 計118分。 ●パリ・ルーヴル美術館の秘密 La Ville Louvre 世界一有名な美術館ルーヴル。展示作品を見るだけでも数日を要する巨大美術館の収蔵品はもちろんそれ以上に、フィリベールはそこで働く人々をとらえる。膨大なエネルギーと情熱が感じられる85分。 ●音のない世界で Le Pays des sourds パリのろう学校の日常。沈黙のなかで生きる人々が、想像できないほど豊かな感覚で世界と接していることを、フィリベールの眼差しが見つめる。手話による合唱では、あふれる「音」が画面を満たす。99分。 ●すべての些細な事柄 La Moindre des choses ユニークなスタイルのラ・ボルド精神科診療所。誰もが自由に出入りでき、ゆったりした雰囲気が漂う。パリでは異例のロングランを記録した。他者を受け入れようとする思いやりに満ちた105分。 ●僕たちの舞台 Qui sait? ストラスブールの国立演劇学校の学生たちが、公演に向かう「設定」で作られた異色の作品。虚構と実像のせめぎあいが、若い肉体に宿る106分。 ●ぼくの好きな先生 Etre et avoir フランス山間部のとある学校。小さな村に住む子供たちは幼稚園から小学校の上級生までが机を並べ、ひとりの先生から学ぶ。信頼と情熱に彩られた子供たちとベテラン教師のつながりが実感される104分。 |
2008
|