●接吻 静かな住宅街の昼下がり。唐突な殺人事件が起きる。犯人坂口秋生(豊川悦司)はテレビ局に連絡し、逮捕の瞬間の映像を日本中に流させる。不敵で不可解な笑みとともに。要領よく立ち回る同僚とうまく付き合えないOL遠藤京子(小池栄子)は、坂口の笑みを見た瞬間に、すべてを悟る。彼は、私と、全く同じ人間だ、と。坂口の生い立ちを調べ、裁判を傍聴する京子。一方、坂口の弁護人となった長谷川(仲村トオル)は、彼の黙秘に手を焼いていた。接見でも喋らない以上、弁護のしようがないからだ。そんな長谷川に京子が話しかける。坂口に差し入れをしたいのだ、と。見ず知らずの殺人犯に共感を覚えるという奇妙な女に呆れつつも、長谷川は興味を覚える。破滅とよぶにはあまりにも切ない終局に向けて、三人のカウントダウンが始まった。 フランソワ・トリュフォー監督の『アデルの恋の物語』を思い起こさせるような、激情のヒロインを中心にした恋愛映画を作り上げたのは、『UNLOVED』でも出口の見えない愛の物語を紡いだ万田邦敏監督。虚無的なまでの無表情を湛える豊川悦司、意志の強い瞳の輝きが印象的な小池栄子、そして、翻弄される仲村トオルの技巧と情熱を凝らした演技のアンサンブルは、観るものを酔わせる。類のない恋愛映画の傑作が誕生した。108分。 |
2008 5/31(土) 〜6/6(金)
6/7(土) 〜6/13(金)
前売券 一 般 1400円 大学生 1400円 会 員 1200円 当日券 一 般 1700円 大学生 1500円 シニア 1000円 中高予 1200円 会 員 1300円 ※前売券販売は公開前日までです。 |
監督・脚本 万田邦敏
脚本 万田珠実
撮影監督 渡部眞
照明 和田雄二
録音 臼井勝
音楽 長嶌寛幸
美術 清水剛
装飾 龍田哲児
衣裳 高橋さやか
出演 小池栄子、豊川悦司、仲村トオル、篠田三郎 ほか
2006年 108分