●パーク アンド ラブホテル とっつきの悪そうな中年の女、艶子(りりィ)が経営する古びたラブホテル。路地裏の後ろめたい雰囲気を醸し出しているのに、なぜか子供や老人が躊躇なく入っていく。髪を銀色に染めた家出少女美香(梶原ひかり)は、その風景にひかれてホテルのドアをくぐり、子供たちに紛れて屋上に向った。そこはなんと、公園! すべり台やブランコで遊ぶ子供、将棋を指す老人、楽器の練習をする若者。ある少年が、アジールと呼び、意を解せない美香に別の子供が解放区だと続ける。まさに都会のオアシスだった。屋上がオアシスであるのと同様に、艶子の周りには、家出少女の美香だけでなく、ウォーキングに執着する主婦月(ちはる)、毎回違う男とやって来ては艶子に毒づく大学生マリカ(神農幸)など、心にキズを持つ女たちがなぜか集まってくる。そして、艶子自身も大きな悩みを抱えていた。
2005年のPFFアワードでトリプル受賞し、スカラシップを獲得した俊英熊坂出監督の初長編作品。ファンタジックな設定に現代的リアリティに裏付けされた要素を配しながら、新鮮な映像表現と心理描写、そして叙情的なカタルシスをも両立させた丁寧な映画づくりに結実させている。滞った淀みが、いつのまにかサラサラと流れ出してしまったような清涼感に満ちた111分。
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2008 6/7(土) 〜6/13(金)
6/14(土) 〜6/20(金)
前売券 一 般 1400円 大学生 1400円 会 員 1200円 当日券 一 般 1700円 大学生 1500円 シニア 1000円 中高予 1200円 会 員 1300円 |
監督・脚本 熊坂出
脚本協力 渡邊純也
撮影 袴田竜太郎
照明 舘野秀樹
録音 加藤大和
美術 松塚隆史
編集 普嶋信一
音楽 日比谷カタン
出演 りりイ、梶原ひかり、ちはる、神農幸、津田寛治、光石研 ほか
2007年 111分