★牡牛座 レーニンの肖像 アレクサンドル・ソクーロフ監督が、ソビエト建国の英雄レーニンの晩年の一時を描いた作品。病床についた権力者の姿に、苦悩する個人と混迷する歴史を重ねた、普遍的な傑作だ。 1922年モスクワ郊外ゴールキー村。演説中に狙撃され、後遺症に苦しめられていたレーニンは、この村の大邸宅で療養の日々を送っていた。党本部からの電話も手紙も無く、革命の指導者は外界から隔離状態にあった。館全体を覆う奇妙な空気。やがてモスクワから一人の客が到着する。後に権力を手中にし、大粛清を行なったスターリンだ。レーニンは苦況を訴えるが……。凝った映像と音響も、レーニンの意識を反映するかのようで素晴らしい。94分。2006年。(初公開) ●ヒトラーのためのソナタ ペレストロイカ以前、ドキュメンタリー映画スタジオで働いていたソクーロフが、注文制作のあい間に制作した短編。バッハのフルートソナタをバックに、ナチスの記録映像をコラージュした実験作。10分。'79年。(本作は『モレク神』と同時上映。) ●痛ましき無関心 バーナード・ショーの戯曲「傷心の家」をモチーフにした長編第二作。未だ自由な映画作りとは程遠い環境の中で、撮影中止命令を受けながらも、ほとんど独力で完成させた初期の重要作品。110分。'83年〜'87年。(初公開) ●静かなる一頁 90年代のソ連崩壊、自由化の波の中で作られた代表作のひとつ。ドストエフスキーの「罪と罰」をモチーフに、音楽、絵画、写真、文学を重層的に導入した独自の世界を創造し、海外での評価も決定づけた作品。77分。'93年。●モレク神 Moloch アドルフ・ヒトラーと愛人エヴァが、“荒鷲の要塞”と呼ばれた山荘で過ごす束の間の休暇を描いた作品。独裁者の内面にふみ込んでいく描写に、ソフーロクらしさが光る。108分。'99年。 ●エルミタージュ幻想 Russian Ark 300万点の収蔵品を誇るエルミタージュ美術館を舞台に、300年にわたるロシアの近世、近代史を、全編ワンカットという驚異的撮影で描き出した作品。名指揮者V・ゲルギエフも出演。96分。2002年。 ●太陽 昭和天皇を主人公に、その孤独な肖像を描いた大ヒット作。主演=イッセー尾形、桃井かおり。115分。2005年。 ★蒼ざめた馬 ロープシンの自伝的小説を、カーレン・シャフナザーロフ監督が映画化。帝政末期に生きる革命家の、愛と孤独を描く。106分。2004年。(初公開) |
2008
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