佐藤 真 1957年生まれ。東京大学文学部哲学科卒業。1989年より新潟水俣病の被害地・阿賀野川流域の民家に住み込み、1992年『阿賀に生きる』を完成。ドキュメンタリー監督の土本典昭や小川紳介の後継として、国内外で高く評価される。独特の風合いを感じさせる距離感で対象に向かい、家族、知的障害者と呼ばれる人々の世界、パレスチナ問題など様々なテーマの優れた作品と数々のテレビ作品、著作を残し、2007年9月4日逝去。ひっそり輝く星のような監督作品上映と、トークショーは『阿賀に生きる』ほかの撮影カメラマン・小林茂さん、映画のみならず文化批評で活躍される上野昂志さん、山形国際ドキュメンタリー映画祭コーディネーター・藤岡朝子さんの3名をお迎えする。 ●阿賀に生きる(115分)公害という主題を根底に据えながら、そこからはみ出す人間の生命観をまるごとフィルムに感光した傑作。ニヨン国際ドキュメンタリー映画祭銀賞。 ●阿賀の記憶(55分)『阿賀に生きる』から10年。再びロケ地を訪れ記憶の痕跡をたどり、音の編集にもこだわった美しい作品。 ●SELF AND OTHERS(53分)1983年、3冊の作品集を残し36歳で夭逝した写真家・牛腸茂雄の草稿や手紙や写真をコラージュし、記憶を揺さぶるその作品を、新しい映像イメージで結晶化した傑作。 2本立 ○保育園の日曜日(20分)娘が通う豊川保育園おやじの会製作作品。○女神さまからの手紙(30分)子どもの成長の記録と自らを取り巻く環境を記録した私家版ドキュメンタリー。保育士との対話など、迫真のシーンが心うつ。 ●花子(60分)京都に暮らす花子は知的障害者のデイセンターに通い、夕食後は畳をキャンバスに食べ物を絵のように並べるアートな日課を送っている。家族や社会との関わりをユーモアたっぷり、鮮明にとらえた。 ●エドワード・サイード OUT OF PLACE(137分)2003年9月パレスチナ出身の世界的な知識人エドワード・サイードが死去した。エルサレムで生まれ、後半生はNYに住み、レバノンに埋葬されたその複雑な人生の背景をたどり、多様な人々に出会い、紛争から和解と共生を見いだすサイードの思想へ重なっていく感動作。 ●まひるのほし(93分)知的障害者の7人のアウトサイダー・アーティストの日常や、彼らの創造力の源となる個性もろともを、ひとつの表現として呈示する傑作。 <トークゲスト> 小林茂さん 2/7(土) 『阿賀に生きる』上映後 上野昂志さん 2/8(日) 『SELF AND OTHERS』上映後 藤岡朝子さん 2/11(水) 『阿賀の記憶』上映後 |
2008
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