○10年に1本という寡作ながら、驚異的な映像美と比類なき詩情で見る者の心を捉え続けるビクトル・エリセ監督(1940〜)。いつの日か登場するに違いない新作への期待を込めて、代表作2本を久々に上映します。
●ミツバチのささやき El Espiritu de la Colmena 1940年頃のカスティーリャ地方。養蜂家の父を持つ姉妹イザベルとアナは、村の公民館で見た映画『フランケンシュタイン』に魅せられる。姉のイザベルは、フランケンシュタインは怪物ではなく精霊で、村のはずれの一軒家に今も住んでいると語る。それを信じたアナは……。アナを演じたアナ・トレントのナイーブで神秘的な美しさは、フィルムに刻まれた至高のもののひとつ。99分。 ●エル・スール El Suri 『ミツバチ〜』から10年ぶりに発表された長編第2作。15歳の少女エストレリャの回想を軸に、父アグスティン(オメロ・アントヌッティ)との強い絆を描く。〈エル・スール〉とは〈南〉という意味。それは父の故郷であり、エストレリャの憧れの地だ。しかし同時に、父の過去が少しずつ明らかになるにつれ、その謎を解くための鍵のある場所となる……。前作を上回る深味のある映像、至福の95分。 |
2008
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