美代子阿佐ヶ谷気分
●美代子阿佐ヶ谷気分 かつてガロという漫画雑誌があった。それは、まだ漫画が若く、表現の可能性を語ることができた時代の象徴と呼んでもいいかもしれない。白土三平がいた。つげ義春がいた。永島慎二がいた。あるいは、南伸坊や渡辺和博や四方田犬彦、山田花子や内田春菊やねこじるの名前を思い起こすかもしれない。商業的なスタイルから遠くはなれて、作家の個性を尊重した希有な神話、多分それが、ガロのイメージだ。その神話の中のひとりの漫画家、安倍愼一の作品を手がかりに、その時代に迫ったのが『美代子阿佐ヶ谷気分』だ。同棲相手の美代子との日常をモチーフに、私小説的な作品を描き綴った安倍愼一。自堕落な毎日を送り、酒に溺れていった安倍愼一。だからこそ、センシティヴな感性を際立たせ、同時に磨耗させていった安倍愼一。その壮絶な日々をモチーフに映画は進む。水橋研二が演じる安倍はもちろん、町田マリーの美代子も、林静一の長井編集長も、佐野史郎の編集者役も、何かまるで現実のように見える。つげ忠男や三上寛や、原マスミ、しまおまほ、杉作J太郎も登場。多数の関係者がガロの世界を彷彿とさせ、特異な作家の内面のイマジネーションと現実が錯綜する。そんな時代を知らない世代にとっても、なぜか懐かしい、不思議な手触りの86分。

2009
9/12(土)
〜9/18(金)

15:00
18:35


9/19(土)
〜9/25(金)

20:45

 
前売券
一 般 1400円
大学生 1400円
会 員 1200円
当日券
一 般 1700円
大学生 1500円
シニア 1000円
中高予 1200円
会 員 1300円

※前売券販売は公開前日までです。
オフィシャルサイト

監督・脚本・編集: 坪田義史
製作総指揮: 岡田博
プロデューサー・編集: 白尾一博
プロデューサー: 宮下昇
脚本: 福田真作
撮影監督: 山崎大輔
撮影: 与那覇政之
照明: 高橋拓
美術: 田中浩二 / 尾崎雅朗
録音: 斎木琢磨
キャスト:水橋研二、町田マリー、本多章一、松浦裕也、あんじ、佐野史郎、三上寛、林静一、飯島大介、飯島洋一、銀座吟八、和倉義樹、石川真希、つげ忠男、シバ、高野愼三、原マスミ、杉作J太郎、しまおまほ 他

2009年 86分