○ジャック・ロジエ Jacques Rozier(1926〜) 映画学校(IDHEC)卒業後に発表した自主制作の短編『ブルー・ジーンズ』をJ=L・ゴダールが絶讃。彼の推薦を得て『アデュー・フィリピーヌ』で長編デビューを果たした。以後ほぼ10年に1本の寡作ぶりながら、どの作品もみずみずしい美しさを湛え、ヌーヴェル・ヴァーグの輝きの真の体現者として、今も高い支持を得ている。日本での紹介が最も待たれていた伝説の映画作家の登場だ。 ●アデュー・フィリピーヌ Adieu Philippine コルシカ島でヴァカンスを楽しんでいる青年のもとに2人の女友達が合流。双子のように仲良しだった女たちの関係が、嫉妬がからんでぎくしゃくして……。陽気で軽やかなタッチを貫きながら、瞬間に息づく切実な感情を鮮やかに描き出した代表作。110分。 ●オルエットの方へ Du Cote d'Orouet 女友達3人の海辺のヴァカンスに2人の男が関わってきたことで生じる波紋……。ヨット遊びや乗馬シーンのすばらしい躍動感、他愛ない会話や食事シーンの楽しさの中に、彼女たちのビターな心模様がうっすら滲む。いつまでも見ていたい至福の161分。 メーヌ・オセアン Maine Ocean ブラジル人ダンサーと女性弁護士の旅を描いたコメディ。行き当たりばったり感に満ちた展開が、見る者の気分をひたすら高揚させる傑作。ロジエは本作で、新人監督の斬新な作品に通常は贈られるジャン・ヴィゴ賞を、60歳にして受賞した。135分。 短編集 ●ブルー・ジーンズ Blue Jeans 南仏、海辺、水着の美女……ロジエの愛する世界が凝縮した出世作。23分。●パパラッツィPaparazz!(20分)●バルドー/ゴダール Le Parti des Choses: Bardot/Godard(10分) 両作品とも盟友ゴダールの名作『軽蔑』の撮影現場のドキュメント。 |
2010
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