○さて、今年も自主フェスです。時代を反映しての内容、どの作品も見応えあり。年の瀬を飾るに相応しいプログラムです。 Aプロ 『PASSION』で鮮烈に登場した濱口竜介監督集。大学映研卒業制作のつもりだったという『何食わぬ顔』は、5人の男女がすれ違い続ける、作家性の萌芽が垣間見える秀作。43分。最新作『永遠に君を愛す』は結婚式当日に問題が続出する笑えない数時間を見事に描く。河井青葉と杉山彦々のふたりは『PASSION』以降の時間を生きる。脚本は『桃まつり』の渡辺裕子。58分。 Bプロ 『キッス占い』がTAMA NEW WAVEに入選した名古屋で活動する酒井健宏監督の最新作『CSL/タカボンとミミミ』は、猫の歩幅計測に憑かれた青年と拾ったビデオテープの映像に魅了される少女との 科学的(?)ロマンティックラブサスペンス。32分。『賽ヲナゲロ』が今年のPFF入選の天野千尋監督(名古屋出身)。大阪CO2で注目された『さよならマフラー』。姉の恋人を好きになる知的障害を持つ中学生を微妙なバランスで描く。45分。 Cプロ 『雲の上』『国道20号線』で絶大なインパクトを与えた映画集団空族が、最新作『サウダーヂ』製作中に生みだしたドキュメンタリー『Furusato2009』。甲府のブラジル人コミュニティへのアプローチが傑作『サウダーヂ』を予感させる。50分。その空族の撮影担当高野貴子、『USB』の撮影担当与那覇政之、水戸短編映像祭準グランプリ歴を持つ小沢和史の三人が監督したのが『デルタ 小川国夫原作オム/ニバス』。キリスト教的内省など、小川国夫らしさ溢れるオムニバス。飴屋法水も出演。75分。 Dプロ 阪神大震災で両親を亡くした青年が、どこかに妹がいるという想念に囚われる『にくめ、 ハレルヤ!』。少女との出会い、そして逃避行。黒沢清監督が絶賛し、「失われた10年」などと口にする軽薄さを拒絶する重量級の必見作。監督の板倉善之は、才能を輩出する大阪芸大出身。松野泉や桝井孝則もスタッフに名を連ね、関西インディーズの才能が交錯した作品。76分。 Eプロ 性犯罪加害者が裁判後も監視され続けるという法律が施行済みの、日本とそっくりだが少し違う世界で、性犯罪加害者のその後を描く『SCOPE』。犯罪自体の卑劣さと贖罪の可能性の狭間に生まれるドラマの難しさに新鋭ト部敦史監督が挑戦。84分。 |
2010 12/23
20:50〜 12/24
20:50〜 12/25
12:00 / 20:50〜
|