●フード・インク Food,inc. 2010年アカデミー長編ドキュメンタリー部門にノミネートされ、惜しくも受賞は逃したものの、アメリカでは『ザ・コーヴ』を上回る大ヒットを記録した問題作が、いよいよ公開される。 この50年間に食生活に生じた変化は、過去1万年間よりも、はるかに大きいと言われる。肉や野菜は大量に生産され消費される“工業製品”に変わったのだ。本作は、アメリカ各地の「食品工場」を巡り、その実像を捉えていく。陽の射さない鶏舎で大量に飼育される鶏、狭い柵の中に押し込められ、遺伝子組み換えコーンを餌に、通常の倍のスピードで育てられる牛。それらの工場を傘下に置きコントロールしているのは、一部の多国籍企業。彼らは、政府の政策決定機関にも入り込み、今や世界の食べ物を支配しつつある……。我々の食生活とも深く関わる、必見の94分。 ●ありあまるごちそう We Feed the World 『フード・インク』がアメリカの食品事情の今を描いた作品なのに対して、こちらは主にヨーロッパを舞台にしたヴィヴィッドな「食」のロードムーヴィ。 貧しいアフリカ移民の手で育てられ、3000キロを旅してスペインの市場に辿り着くトマト。ウィーンで日々廃棄処分されている膨大なパンの山。食品は、どのように流通し、消費され、そして捨てられていくのか。本作は、フランス、ルーマニア、スイスなど各国を縦断し、その実態を描く。我々の現在の食生活は、いつまで続けられるのか? なぜ今も10億人もの人々が、飢えに苦しんでいるのか?多くの示唆を秘めた96分。 |
2011
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