○6年ぶりの長編『ゴダール・ソシアリスム』の公開も間近なジャン=リュック・ゴダール監督。80歳を超えてなお映画の未来を切り開こうとするパワーみなぎる最新作も素晴らしいが、まずはこの“永遠の映画青年”の足跡を辿ろう。 まだ無名だったJ=P・ベルモンドとアンヌ・コレットを主演に、自分のアパルトマンを舞台に撮り上げた愛すべき短篇シャルロットとジュール Charlotte et son Jules (58年 14分 *『JLG/自画像』と同時上映)。ベルモンド、ジーン・セバーグのフレッシュなコンビを主演に、旧来の文法を破壊し「映画」の新たな1ページを開いた、ヌーヴェル・ヴァーグ不滅の名作勝手にしやがれ A Bout de Souffle(59年 89分)。60年代ゴダールのミューズ=アンナ・カリーナの魅力があふれる、恋×青春×犯罪映画の傑作はなればなれに Bande a Part(64年 96分)。ベルモンド&カリーナ演じる恋人たちの逃避行を鮮烈な色彩とアナーキーな展開の中に描き、幸福と絶望が激しくスパークする、ヌーヴェル・ヴァーグの金字塔気狂いピエロ Pierrot le Fou(65年 109分)。ブルジョワ夫婦の週末旅行を題材に、伝説となった大移動撮影や、ミレーユ・ダルク他出演者の奔放な演技に目を奪われるウイークエンド Week-end(67年 104分)。 68年パリの五月革命を予感させた本作の後、商業映画と決別したゴダールは、映画と社会の革新を目指して、先鋭的・実験的な作品を連打する。そして1980年代、映画の最前線に復帰。そこから始まる新時代は、さらなる瑞々しさと、めくるめく映像×音響の冒険に満ちたものとなった。映画を作ればこれまでの全ての罪を許されると聞いた男(扮するのはゴダール自身)の物語を、カラフルに、軽やかに描いた右側に気をつけろ Soigne ta Droite(87年 81分)。90年代ゴダール映画のエッセンスともいえるシネ・エッセイJLG/自画像 JLG/JLG(95年 56分)。内戦下のサラエヴォで演劇を上演しようとする人々を描いたフォーエヴァー・モーツアルト For Ever Mozart(96年 84分)。以上8作品。ご堪能下さい。 |
2011
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