○映画製作だけでなく上映のあり方まで、インディペンデントにこだわり続ける井土紀州監督とスピリチュアル・ムービーズを中心に、映画の未来を開く志を旗印にした映画一揆。社会性の強い脚本で瀬々敬久監督作品に寄与した後、東京学生映画祭特別賞の『第一アパート』(1992年)以来の映画作家として、井土監督は作品ごとにパワーアップし続ける。犀の角のようにただひとり歩みつつ、同時に他者と関わることを恐れない者たちの勇姿、お見逃しなく! ●犀の角 とある田舎町に移り住んできた宗教団体のグループ。異分子である彼らを地元住民は受け入れようとはしない。中には、追い出そうと暗躍し、若者を金で釣って嫌がらせを繰り返すものまで現れる。そんなグループの内気な男子高校生は、偶然に、教団の少女と言葉を交わす。それは、ささやかな交流の第一歩なのか? 日本映画学校俳優科の実習作品ながら、厳しい現実とアクチュアルに拮抗する53分。 ●土竜の祭 老人介護のホームヘルパーとしてともに働く3人の女(ほたる、長宗我部陽子、阿久沢麗加)。どうみてもワケアリで、まったく性格の異なる彼女たちは、互いのキャラクターを補完しあいながら、それなりに楽しく仕事をしている。ある日、担当している熊谷老人から、銀行での振込を頼まれる。それは、思いがけず、欲望渦巻く事件へと発展する糸口だった。50分。 ●泥の惑星 地方の農業高校のダメダメな男子たちの青春グラフィティ。泥まみれでレンコンを掘る彼らの中で、なぜか浮き立つ天文部の転校生アキ(千葉美紅)。ハリネズミのように頑な彼女が気になってしょうがないハルキ(上川原睦)のまわりで、停滞していた時間が動き出す。『SO WHAT』から『青い春』へと結ばれた映画の星座に連なり、新たな地平へとつなぐ53分。 ●百年の絶唱 井土紀州とスピリチュアル・ムービーズの名を不動にした傑作と呼ぶのも憚られるほどの傑作。中古レコード屋で働く男平山が、失踪した男のコレクションを引き取るところから物語は始まる。鬱々とした彼の日常に不穏な気配が立ちこめる。謎の女、留守番電話の口笛、廃校、ダムに沈む村。どの記憶が自分のものか混乱する平山の精神は、徐々に失踪した男とシンクロする……。「映画一揆は『百年の絶唱』からとっくに始まってたんすね」(『国道20号線』富田克也監督)1998年製作。あまりにも異形すぎる87分。 初日6/11(土) 井土紀州監督来館決定! 19:00『犀の角』舞台挨拶あり 21:15『泥の惑星』トークあり |
2011
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