恐怖分子 Terrorizers


 「エドワ−ド・ヤンの恋愛時代」などで、日本にも知られつつある楊徳昌(エドワード・ヤン)監督は、その美しくて凶暴な作風で時代の最先端に位置する作家といえるかもしれない。 『恐怖分子』では、台北の夜にうごめく幾人かの若者たちの錯綜する青春群像をスタイリッシュに描き、同監督が海外で注目されるきっかけとなった。 台湾国内で1980年代台湾・香港映画ベストワンにも選ばれた。
 夜明けの台北にサイレンが鳴り響く。パトカーが集結した先には少年犯罪グループ。サイレンを聞いて駆けつけたのはアマチュアのキャメラマン。一瞬すれちがう美少女ひとり。 サイレンで揺り起こされながら再び目を閉じるのは野心的な外科医とその妻の小説家。静寂を切り裂く銃声。4人の生活と4人の運命が錯綜するまでには、 ほんの少し時間が必要なのかもしれない。夜明けは間近だ。美少女を忘れられぬキャメラマン。平凡な夫に耐えられぬ小説家。そして奔放な美少女。 エドワード・ヤンがストイックに描く、「恐怖分子」の物語はたった今始まったばかりだ。しかし、それが行き着く先はどこなのだろうか。109分