『ピンク・ヌーヴェルヴァーグ』出版記念上映会


昨年の夏に企画した「Pink Films Now」以来のピンク映画特集第2弾。今回は福間健二編著の書「ピンク・ヌーヴェルヴァーグ」の出版を記念して、四天王と呼ばれるピンク映画界の風雲児たちがその評価を決定づけた代表作に加え、あの周防正行のデビュー作『変態家族 兄貴の嫁さん』がニュープリントで登場。80年代ひそやかに日本映画の一角をにない、今、その第一線に躍り出てきた作家たちの“原石”の輝きを見ていきたいと思う。

●変態家族 兄貴の嫁さん(原題=お嫁さん日和)


 『シコふんじゃった。』『Shall we ダンス?』の周防正行が監督した唯一のピンク映画。死んでしまった母の思い出から逃れられない父と息子を主軸に、ある家族に起こる様々な出来事を描く。小津のスタイルを徹底的に意識することが、現代において奇妙なエロスとユーモアを生み出した異色の傑作。主演=風かおる、大杉蓮、下元史朗。62分。【カラ−】

●おいしい水のつくり方(公開題=田代水絵 ザ・本番アクメ)


 『LUNATIC』『アタシはジュース』で一般映画に進出した、しなやかでスタイリッシュな作風が持ち味のサトウトシキ。本作は、海辺を舞台にした不思議なラブ・ストーリー。55分。【カラ−】

●羽田に行ってみろ そこには海賊になったガキどもが今やと出発を待っている(公開題=課外授業 暴行)


 京大在学中より製作を続けてきた瀬々敬久。彼の作風は、四天王の中でも最も思索的かつ実験的だ。本作は無国籍な匂いの活劇にテロリズムがにじむピンクデビュー作。63分。【カラ−】

●失楽園測量地図(公開題=ハードフォーカス 盗聴)


 挑発的映画作りが賛否両論を呼ぶ佐藤寿保。本作は、実際に起こったNTT社員の盗聴事件をもとに、エイズ問題、ビデオ映像の仕組みなどを取り入れた、完成度の高いサスペンス。64分。【カラ−】

●最後の弾丸(公開題=監禁 ワイセツな前戯)


 センシティブなハードボイルドとでも呼びたくなる、叙情性と暴力性を兼ね備えたタッチの佐野和宏。本作では、青年が拳銃を手に入れたことから暴走していく姿を描く。59分。ニュープリント。【カラ−】