Mogura


 『トカレフ』「南京の基督』などの音楽担当を手がけてきた作曲家、梅林茂のこの初監督作品は、「マークスの山」の著者・高村薫が監督の原案を原作化するという変則的なコラボレーションから生まれた。撮影監督は『南京の基督』のビル・ウォン(黄仲標)、『この窓は君のもの』や『BeRLiN』など才能溢れる若手プロデューサーの仙頭武則といった精鋭スタッフによる、極めて野心的な映像詩である。全編、音と映像による表現で、ストイックなほどに言葉を廃し、時代の矛盾した孤独観を錯綜させる。
 将来に絶望した元ミュージシャンのMogura(杉本哲太)は、ひとり廃墟に暮らしている。ある日、雑誌に載った女性チェリスト(渡辺真起子)の肖像に魅かれ、想いを託した手紙を彼女の音楽アカデミーへ届け続ける。ヴァイオリン奏者(伊佐山ひろ子)を唯一の相談相手に、音楽に打ち込む孤独なチェリストは、手紙に心を動かされ、迷った末にMoguraに会い愕然とする。彼は、聴覚を失っていた!70分。

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