『フラメンコ』


●フラメンコ Flamenco
 近年かつてないほどの勢いでファンを増やしているフラメンコ。その代表的な曲形式を網羅し、それぞれの奥深い魅力をフィルムに収めた、フラメンコ・ドキュメンタリーの傑作が生まれた。これほどの顔合わせは二度と不可能と言われる贅沢なアーティストたち、そして最高の映画スタッフによって作られた、フラメンコ史に残る貴重な映像作品だ。
 監督は『血の婚礼』『カルメン』『恋は魔術師』の3部作でアントニオ・ガデスを国際的スターにし、世にフラメンコ・ブームを巻き起こした立役者カルロス・サウラ。彼にとって久々の会心作となった本作は、3部作とはガラリとテイストを変え、シンプルな舞台設定の中でフラメンコの真髄にストイックにせまる。撮影監督は『1900年』『地獄の黙示録』『ラスト・エンペラー』などで知られる天才肌のキャメラマン、ヴィットリオ・ストラーロ。
 その圧倒的なキャメラワークの中で燃えつきんばかりに歌い、踊るダンサーたちは、今や絶大な人気を誇るホアキン・コルテス、メルチェ・エスメラルダ、マリア・パヘスほか。演奏はパコ・デ・ルシアほか。情熱の98分。