『シークレットワルツ』


●シークレットワルツ
 獰猛な愛、彷徨する魂。都会で生きるにはあまりにも純粋で無器用な人々、彼らはときに凶暴性をむき出しにして破滅に向かって暴走しはじめる。血のつながらない姉と弟。二人はふとしたことをきっかけにして犯罪世界に捲き込まれてゆく…。'92年ゆうばりファンタ映画祭オフシアター・コンペ部門グランプリ作『ダイアモンドの月』で、本作の原案にも携わるツイ・ハーク監督に才能を認められた期待の新鋭、野火明監督の劇場映画デビュー作。前作から評価の高かった、都市生活者の孤絶感やその中に潜在する狂気を切り取る感覚が光り、撮影(上野彰吾:『渚のシンドバッド』)には全編に静謐さを湛えた美しさがあふれる。主演は『オートバイ少女』や岩松了脚本。竹中直人主演の舞台など着実に磨かれつつある女優石堂夏央、黒澤作品『夢』『八月の狂詩曲』の伊崎充則。共演、堤真一、高田純次。105分。