卵の番人 Eggs


 ノルウェー期待の新人監督(とはいっても、今年で41歳になるのだが)ベント・ハーメルの長篇デビュー作。彼の才能を知らしめた短篇『拍手』のプロデューサー、撮影監督と低予算で作り上げた本作は、見事95年カンヌ国際映画祭監督週間で喝采をあび、また同年のモスクワ国際映画祭で最優秀新人賞を受賞するなど、めざましい成果をあげた。
 ノルウェーの雪深い森。孤島のように佇む小さな一軒家。そこに暮らす老兄弟ファーとモー。ハンで押したように単調ではあるが、それはそれで心地よくもある彼らの生活。この童話のような世界に、ある日、大鷲のような男が舞い降りる。スウェーデンからやってきたファーの息子コンラードだ。殼に守られた卵のような「極上の日常」は、美しい卵のコレクションを持つ恐ろしくもユーモラスなコンラードの登場で徐々に壊れていく。86分。