昼顔 Bell de jour


 ジョセフ・ケッセルの同名小説をブニュエルが脚色・監督したもので、屈折した精神とその欲望を描いた異色作。若い外科医ピエール(ジャン・ソレル)の美しい妻セブリーヌ(カトリーヌ・ドヌーブ)は、穏やかで幸せな生活を送っているが、夫に縛り上げられ鞭でひっぱたかれるとか、薄汚い男に犯されるなどの淫らな妄想から離れられない。知り合いの女性から高級売春宿の場所を教えられた彼女は不思議な力に引かれるようにそこを訪れる。5時までは「昼顔」という名付けられた売れっ子高級売春婦、家に帰れば貞淑な人妻という奇妙な二重生活が始まった。やがて夫は彼女の変化に気が付くが……。原作にはないブニュエルの特異な演出、実生活では当時すでに一児をもうけていたドヌーブの淫らであり冷やかな、指先から、髪の一筋から立ち上ぼるあやしい魅力が異様な効果をあげている。100分。