アルチバンド・デラクルスの犯罪的人生 Ensayo de un Crimen


 『アンダルシアの犬』('28年)から遺作『欲望のあいまいな対象』('77年)まで、数々の傑作を撮り続けた名匠ルイス・ブニュエル。そのメキシコ時代の作品の中でも、ブラックなユーモアとシュールな作劇でひときわ名高かった本作が、40年の時を越え遂に初公開される。少年の頃、母からもらったオルゴール人形の美しさと音色に魅せられた主人公アルチバルドは、それを鳴らしたとき偶然家庭教師の死に遭遇し、以後成人してからも美女に出会うたびにその音を思い出して相手を殺したい欲望に捕われる。しかし幸か不幸か、いつも彼が手を下す前に相手は死んでしまうのだ。アルチバルドはすでに犯罪者か、それとも未だ途上か?あるいは……。ブニュエルは茶目っ気たっぷりに、そう問いかける。91分。