イラン映画祭


●牛 The Cow
 巨匠中の巨匠メールジェイの、イラン映画史を変えたとまで評される金字塔的傑作。最愛の牛を失った男の悲しみと恐怖は、やがて狂気へと変容していく。100分。

●ハムーン/愛の破局 Hamoon
 作家ハムーンは7年連れ添った妻を今も愛しているが、愛と信頼についてのエッセイを執筆するうちに、心に迷いが生じる。メールジュイの大ヒット作。130分。

●トラベラー The Traveller
 キアロスタミの長編第一作。サッカーの試合見たさに、少年は周囲の人を次々と騙しヘラン行きのバスに乗るが…。キアロスタミの短編『パンと裏通り』(Bread and Alley)を同時に上映。計83分。

●クローズ・アップ Close Up
 映画好きの青年がアフマルバフの名を騙り、事件を起こした。その実話を元に、キアロスタミが織り上げた、虚実入り乱れる傑作。97分。

●駆ける少年 The Runner
 '85年ナント映画祭で金賞を受け、ヨーロッパでイラン映画が発見される契機となったA・ナデリの作品。残酷なまで厳しい境遇の中でたくましく生きる少年たち。ひたすら駆ける彼らとともに、キャメラもまた躍動する。94分。

●ワンス・アポン・ア・タイム、シネマ Once, Upon a Time, Cinema
 新世代の旗手マフマルバフによる、イラン映画史へのオマージュ的作品。名作の断片がふんだんに取り入れられ、楽しみつつイラン映画史を一望できる。98分。

●オフ・ザ・リミット Off the Limits
 女性監督バニエテマッドの第一作。泥棒の入った家が地図に載っていないエリアにあった為、せっかく捕えた泥棒の身柄の引きうけ手がいない。騒々しくも滑稽な社会風刺劇。100分。

●鍵 The Key
 留守番を頼まれ、家に閉じこめられた4歳の少年が、鍵探しに悪戦苦闘する。日常的なスリルとサスペンスに冴えを見せた、キアロスタミ脚本、フルゼシュ監督作品。76分。

●炎のかなた Beyond the Fire
 油田が炎を吹き上げる南部の村を舞台に、いつ果てるともしれぬ兄弟の争いが繰り広げられる。力強い作風で知られるK・アイヤリの代表作。97分。

●トラベラーズ Travellers
 妹の結婚式へ向かう姉の家族が交通事故に巻きこまれる。婚礼が葬儀へと一気に変化する様を、スタイリッシュに描いた名匠ベイザイの作品。90分。

●ざくろと笛 Nar-o-Nay
 説明的な描写を徹底して削り映像の力でメッセージを伝えようとした、イラン映画の中でも珍しい、エブラヒミファルの作品。色彩の美しさに目を見張る。86分。

●カルヘからラインへ From Karkhe to Rhine
 カルヘとはイラン・イラク戦争の最前線の地名。このタイトルが示す通り、戦場で浴びた毒ガスの後遺症に苦しむ復員兵の姿を描いた。E・ハタミキアの痛切なドラマ。90分。