フィルム・ノワール傑作選『冬の猿』『天使が隣りで眠る夜』
●天使が隣りで眠る夜 Regarde les Hommes Tomber
中年のセールスマンのシモン(ジャン・ヤンヌ)は、若い刑事のミッキー(イヴォン・バック)と知り合い不思議な親近感を覚える。だが、ミッキーはある事件の捜査中に銃で撃たれて植物人間になってしまい、シモンは執拗に犯人を探し始める。一方、それよりずっと以前の事、しがない賭博師のマルクス(ジャン=ルイ・トランティニャン)は、幾ら追い払っても犬のようについて来るジョニー(マチュー・カソヴィッツ 昨年公開された『憎しみ』を監督)に出会う。いつしか二つの物語が複雑に絡み合いスリリングな三角関係へと滑り墜ちていく。シモンの妻役は『北の橋』『彼女たちの舞台』『アウト・ワン』等でJ・リヴェット作品の常連でもあるビュル・オジェ。また、監督は本作で1995年度セザール賞最優秀新人監督賞を受賞したジャック・オディアール。
●冬の猿 Un Singe en Hiver
ゴダール監督の『勝手にしやがれ』で一躍脚光を浴びた新進気鋭の若手スターで、当時29歳のジャン=ポール・ベルモンドと、戦前から「ギャバン神話」があるほどの国民的大スターであった56歳のジャン・ギャバンという新旧二大スターの1962年の初共演作。かつて、酒に酔っては思い出の中の中国へと「旅」をしていたが今は酒を断った初老の男アルベール(ギャバン)と、酒に酔うことで昔の恋人のいる国、闘牛士と情熱の国スペインに「旅する」ことに耽っている若者ガブリエル・フーケ(ベルモンド)。「旅する」ことに取り付かれた二人の男の巡り逢いに不安を感じるアルベールの妻シュザンヌ(シュザンヌ・フロン)。彼女の不安は的中し……。『ヘッドライト』の監督アンリ・ベルヌイユと主演ギャバンのコンビが送る隠れた名作。お見逃しなく。
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