『新宿ボーイズ』『ドリームガールズ』


○ナショナル・フィルム・スクール出身のキム・ロンジノット、NHKのコンサルタントの経験を持つ日本に精通したジャノ・ウィリアムズ。二人の英国女性は「二十世紀ヴィクセン」を設立し、世界の女性をテーマにドキュメンタリーを製作し続けている。90年には日本で花柳幻舟についての『幻舟 Eat the Kimono』によって複雑さを秘めた女性の内面を描いた。この二人が、日本に見られる独特なジェンダリズムを取材し、現代の女性が抱える性的な抑圧や内面の情熱に迫るドキュメンタリー2作を一挙上映。

●新宿ボーイズ
 歌舞伎町にあるバー、ニュー・マリリンでは、男として生きることを決心した女性たちが朝まで働いている。ナンバーワンのGAISHは、クールに女性の気持ちをくすぐりながらも、結局は自分を理解してくれる人はどこにもいないという孤独感から逃れられない。女友達と同棲中の優しいTATSUは、幼い頃から自分の中の少年性を意識してきた。KAZUKIは、「おなべ」と呼ばれるこの職業を家族に告げ独立し、ニューハーフのくみとの結婚を決意する。喧騒のあと、新しい朝を迎える新宿に溶けてゆく彼らの姿には、進化しすぎた都会の悲しみが重なる。54分。

●ドリームガールズ
 宝塚歌劇団。この夢を紡ぐ世界の内側はベールに包まれてきた。「宿命の男」を演じるトップスター(安寿ミラ、真矢みき)、引退公演(杜けやき)、熱狂的なファン、自衛隊員を招いての躾け訓練など厳しい養成校に学ぶ生徒たちに取材し、その素顔と肉声を伝える。50分。