『イゴールの約束』


●イゴールの約束 La Promesse
 ケン・ローチ、マイク・リーのように <映画は我々のもの>であることを感じさせ、ブレッソンのように静謐さに潜むドキュメンタルな生を育む本作品は、96年カンヌ映画祭で満場の拍手に包まれ、国際芸術映画批評家連盟賞を受賞。極めて現代的なヨーロッパの問題を抱えるベルギーを背景に、まだ将来の定まらない15歳の少年は大人であれば背を向けるような選択を委ねられる。通り過ぎてゆく人生に戸惑う少年の心うつ真実の瞬間をとらえた傑作。監督のルックとジャン=ピエールのダルデンヌ兄弟はドキュメンタリー制作のキャリアを持つ。アフリカから『ヤーバ』『掟』のラスマネ・ウエドラオゴが客演。
 イゴール(ジェレミー・レニエ)は修理工場で働きながらの父の違法外国人労働者斡旋を手伝っている。労働者のなかに博打好きのアミドゥと幼子をつれた妻アシタがいたが、査察官から逃げる際に大怪我を負ったアミドゥは死ぬ間際、イゴールに家族を託す。そのことからイゴールと父の堅い絆が揺らいでゆく。93分。

参照ホームページ: 配給会社ビタ−ズ・エンドのイゴ−ルの約束解説ペ−ジ