リトル・シスター Zusje


 日本公開が稀なオランダ映画から新鋭監督ロバート・ヤン・ウェストダイク('64年生)がデビュー。『リトル・シスター』は監督以外は20代のスタッフによって製作された低予算のインディーズ(実際には助成金や既存の映画会社からはじかれたため、個人やスポンサーからの40もの子会社を持つ合資会社を設立して製作資金を調達した。)的作品だが、ヴィデオや8ミリをのびのびと使いまわすそのキッチュな映像感覚、理由なき(ストーカー)行為を恥じ入らせるほどにサスペンスフルなストーリー、魅力的な若い俳優たちのはっとするほどドキュメンタルな演技が絶賛され、国内外の映画賞を受賞。『恋する惑星』を手懸けたフォルテッシモ・フィルムによって海外での上映を大成功させ、若いアーティスト集団ならではの勢いを見せた。
 デザイナー志望のダンチェ(キム・ファン・コーテン)の部屋に何年も会っていなかった兄マルティン(ヒューゴ・メッツェルス)が突然あらわれた。兄は彼女の生活を執拗に8ミリヴィデオで撮り始める。いらだち、戸惑う彼女はパーティで知り合った男友達ラモンとのキスシーンまでみせつけるが兄は平気でラモンの浮気まで取材してくる。次第に彼女は意識の底に葬っていたこどもの頃のある秘密に向き合わざるを得なくなった……。91分。