真夏の夜のジャズ Jazz on a Summer's Day


●真夏の夜のジャズ Jazz on a Summer's Day
 アントニオーニ監督『欲望 Blow-up』の実際のモデルだった新進キャメラマン、バート・スターンが弱冠30才で、その制作を委ねられた本作品は、イースト・コーストのジャズ祭の追憶としてだけでなく、50年代のアメリカ文化を鮮烈に伝えるドキュメンタリーとして語り継がれてきた。大西洋を望むハイ・ソサエティの別荘地ニューポート。静かな港町に、ヨット・レースとこの「ニューポート・ジャズ・フェス」が同時主催されるというとびきりヒップな休日が訪れた。港の水面に光が織り成すクレジットと共に、この地をめがけて来た夏のモードで装った人々がスナップされてゆく。一方セロニアス・モンク、ルイ・アームストロング、ジェリー・マリガン、ウィントン・ケリー、マックス・ローチ、エリック・ドルフィー、書ききれないプレイヤーたちのクールなライブ。それらは、ジャズ=アートというスノッブの場で白人と黒人が一体化した一瞬の楽園を、楽園ならではの豊饒な時間で紡いでゆく。

監督・撮影  バート・スターン
音楽監督  ジョージ・アバキャン
編集  アラム・アバキャン
1959年  82分