いさなのうみ


●いさなのうみ
 四国最南端の室戸岬。そこでは、勇魚(いさな)と呼ばれるクジラに畏敬の念が払われてきた。古くからクジラ捕りをはじめ、漁業が町を支えてきたが、近年は捕鯨も禁止され先行きは不安だ。少年の頃から漁師にあこがれ、クジラ捕りの先陣を切ることを夢みてきた主人公の廉次(二宮哲也)が、18歳の夏に人生の転機を迎える姿が描かれる。勇壮な漁師へと思いをはせる廉次にとって高校生活などぬるま湯のようなものだった。友達以上恋人未満の幼なじみ美智子(遠藤久美子)もわずらわしいと感じるばかりだ。ある日、かつてすご腕の漁師だった廉次の祖父が、「クジラを捕りに行く」と言い残して船を出し、何かを暗示するように、不思議な少女京子(馬淵エリカ)が東京から転校してくる。彼女はなぜかクジラについて博識だった。京子に魅かれながら、同時にクジラを捕ることにも疑問を持ち始める廉次だったが、それは人生の分岐点を意味していた。
 監督は熊井啓、石井聰亙らのスタッフを務め、本作でデビュー。

監督・脚本  日垣一博
撮影  佐野哲郎
美術  磯見俊裕
編集  掛須秀一
出演  二宮哲也  馬渕英里何  遠藤久美子  永島暎子
1997年  91分   J・MOVIE・WARS4