ライフ・イズ・スウィート  Life is Sweet


●ライフ・イズ・スウィート  Life is Sweet
 『ネイキッド』や『秘密と嘘』といった、刺激的な題材と虚実入り乱れたアドリヴ感覚にあふれた作品で、ようやく日本での評価も高まってきたマイク・リー監督。彼の日本初公開作品として輸入されながら、ユーモアがあまりにイギリス的すぎるとして公開されないままだった1990年の作品がようやく日の目を見る。ロンドン郊外にすむ4人家族。大手レストラン・チェーンでシェフを務める夢みがちなアンディに、典型的な「普通の」主婦ウェンディ(マイク・リー夫人のアリソン・ステッドマンが好演)。そして双子の姉妹、ナタリーとニコラ。多くの家庭が問題を抱えながら何とかやっているように、彼らもまた、深刻な現実に直面していた。気の良すぎるアンディ。しっかりしているが事態を混乱させてしまうナタリー。そして、神経質でいつもトラブル・メーカーになってしまうニコラ。でも、彼らも別に悪気があるわけではないのだ。彼らは彼らなりにうまくやろうとはしているのだ。ただ、どうもうまくいかない。どこかで歯車がずれてしまうのだ。ポジティヴで寛容なウェンディが、いつも笑いながら何とか彼らの絆をつなぎとめてきた。もちろん、彼女の忍耐もいつまでも続くわけではない。そんな彼らにマイク・リーは新たな試練を課す。懸命に生きようとする市井の人々の姿を真摯に描くスタイルは、ケン・ローチ監督の諸作を連想させる。

監督・脚本 マイク・リー
出演 アリソン・ステッドマン ジム・ブロードベント スティーブン・レイ ジェーン・ホロックス クレア・スキナー ティモシー・スポール デイヴィッド・シューリス ほか
撮影 ディック・ポープ
音楽 レイチェル・ポートマン
91年 104分