Ethica/エチカ


●Ethica/エチカ
 『ぬかにくぎ』('89年)『Way of Life』('94年)と当館で名古屋在住の映画作家の中でイチオシとして紹介してきた大原重光監督の最新作。平岡修(高倉一修)と吉田和夫(梶田真二)はバンド仲間。ある時、和夫は修の作った曲を散漫な感じがすると批判する。修は仲間全員に曲を聞いてもらい、賛否を問おうと提案する。修は理沙(後藤由佳穂)のライヴの帰り道、偶然出会った鈴木に「お前の曲はパクリじゃないか」と言われる。彼がパクリをしたつもりはないと説明すればするほど鈴木の思い込みは強くなっていく。題名になっている「エチカ」とは、スピノザの本の題名でも有名だが ”倫理" のこと。この作品では、自分で曲を作りながら演奏するミュージシャン達を描きながら、ひとつの作品(曲)に対する他人の曖昧な態度(批評)を通して、人と人との間に成りたつエチカを模索していく。その姿はJ=L・ゴダールの『ワン・プラス・ワン』を思い出させる。

監督・脚本・編集 大原重光
出演 高倉一修、梶田真二、後藤由香穂 ほか
撮影 山崎のりあき
音楽 高倉一修、梶田真二、山田真二
98年 70分