バタフライ・キス


●バタフライ・キス Butterfly Kiss
 『トレインスポッティング』『フル・モンティ』『ブラス!』などヒット作を連発し、今再び注目を集めているイギリス映画界。中でも作品を発表するごとに各国の映画祭に招かれ、高い評価を得ているのがマイケル・ウィンターボトム(1961〜)だ。『GO NOW』『日蔭のふたり』に続き、新作2本も公開待機中の彼の、長編劇映画第一作の登場である。しかし本作は、大成した監督の原点を見るというにとどまらない、とてつもなく激しい魅力を持っている。それは「ロード・ムーヴィー、シリアル・キラー、ラヴ・ストーリー、ブラック・コメディ、そのすべてが巧みにブレンドされた傑作。息を呑むほどに突出している」というヴァラエティ誌の評に集約されるだろう。
 全身にボディピアスを施し、17ヵ所のタトゥを持つユーニス(アマンダ・プラマー)は、殺人を繰り返している。偶然知り合ったミリアム(サスキア・リーブス)は、そんな彼女と行動を共にする。ユーニスを見守り、救えるのは自分しかいないと考えたのだ…。淀川長治氏は、「近松と鏡花と谷崎そしてO・ワイルドを絹のベールで包んだ泣き叫ぶ恋の悲歌」と評した。必見。

監督 マイケル・ウィンターボトム
脚本 フランク・コトレル・ボイス
出演 アマンダ・プラマー、サスキア・リーヴス、デス・マッカーリア ほか
撮影 シェイマス・マクガーヴェイ
音楽 ジョン・ハール
95年 85分