子供たちの瞳の中に/BEST FILM OF THE WORLD


〈子供は子供だった頃/いつも不思議だった/…なぜ僕はここにいてそこにいない/…時の始まりはいつ?/この世の生はただの夢?〉。10年に一作のペースで傑作を世に贈ってきたエリセの名を映画史に多大な敬意をこめ、作家が幼い子供の目を通して(映画の世紀でもある)20世紀をスペクタルにとらえた不滅の名作を特集。協力頂いた配給会社の功績にも改めて感謝します。
●ミツバチのささやき El Espiritu de la Colmena
 スペインの小さな村に住む姉妹イザベル(イザベル・テリェリア)とアナ(アナ・トレント)は映画会で『フランケンシュタイン』を見た。イザベルはアナにフランケンシュタインと友達になる方法を知っているという。原題は〈ミツバチの巣箱の精霊〉。

監督 原案 脚本 ヴィクトル・エリセ
出演 アナ・トレント、イザベル・テリェリア、フェルナンド・フェルナン・ゴメス ほか
撮影 ルイス・アドラド
音楽 ルイス・デ・バブロ
72年 99分


●エル・スール El Sur
 父(オメロ・アントヌッティ)は二度と帰ってこないと予感した15歳のエストレリャ。物語は、時折両親の精神的な葛藤が影をおとす幸福な彼女の少女時代を遡行してゆく。エル・スールは〈南〉を示す。スペイン南部での反ファシズム抵抗運動時代の父の恋人役はオーロール・クレマン。

監督 脚本 ヴィクトル・エリセ
出演 オメロ・アントヌッティ、ソンソレス・アラングーレン、イシアル・ポリャン、オーロール・クレマン ほか
撮影 ホセ・ルイス・アルカイネ
原作 アデライダ・ガルシア・モラレス
83年 95分


●霧の中の風景 Topio Stin Omichli
 「恐い?」「恐くない」互いの決心を確かめながら父を求めてアテネからドイツへ行く11歳のヴーラと5歳のアレクサンドロス。お金も持たず国境も知らない姉弟は神話の神々のように沈黙する世界を渡る。125分。

監督 脚本 原案 テオ・アンゲロプロス
出演 ミカリス・ゼーケ、タニア・パライオログウ、ストラトス・ジョルジョログウ、イリアス・ロゴセティス ほか
撮影 ヨルゴス・アルヴァニティス
美術 ミケス・カラピペリス
音楽 エレニ・カラインドロウ
88年 125分


●都会のアリス Alice in den Stadten
 記者ヴィンター(リュディガー・フォーグラー)は米国でのルポに失敗し、ドイツへ戻る飛行場で知り合った女性から9歳の娘アリスをアムステルダムの祖母の元へと委ねられる。若きヴェンダースの秀作。

監督 脚本 ヴィム・ヴェンダース
出演 リュディガー・フォーグラー、イエラ・ロットレンダー、リザ・クロイツァー ほか
撮影 ロビー・ミュラー
74年 112分