ナージャの村


●ナージャの村
 チェルノブイリ原子力発電所で起きた事故によって放射能汚染にさらされた村に暮らす人々の生活を、「老人と海」などで知られる写真家・本橋成一が記録した、長編ドキュメンタリー・フィルム。  かつては300世帯の農民が暮らしていたベラルーシ共和国ゴメリ州ドゥヂチ村は、'86年のチェルノブイリ原発事故のため、高度の放射能汚染地域となり、今ではわずか6世帯15人が暮らすだけの村となってしまった。
 政府から立入禁止区域に指定され、大地が汚染されていることを充分知りながらも、残った15人は村を離れようとせず、農作物を栽培し、家畜を育て、昔と変わらない営みを続けている。一人の老人が言う「人間が汚した土地なんだよ。ここから逃げ出してどうするんだ」。ナージャは、そんな村に生まれ育った8歳の少女。映画は彼女の一家を中心に、信じ難いほど美しい四季の風景を折りこみつつ、故郷を忘れない人々の暮らしを静かに捉えていく。
 撮影は、本作で97年日本撮影監督協会賞を受けた一之瀬正史。編集は『阿賀に生きる』の佐藤真が担当し、初監督となる本橋を強力にサポートした。

企画・監督 本橋誠一
撮影 一之瀬正史
編集 佐藤真
音楽 小室等
語り 小沢昭一
1997年 118分