ジョセフ・ロージー★ハリウッドの灯は遠く


○ ジョセフ・ロージー
 1909年アメリカ・ウィスコンシン州生まれ。'48年『緑色の髪の少年』で長編劇映画デビューを果たすも、折から吹き荒れた共産主義者弾圧政策(赤狩り)の対象となり'52年ヨーロッパへ亡命、三つの変名を使って映画を撮り続ける。『非情の時』で5年ぶりに本名で監督、その後『エヴァの匂い』『召使』『唇からナイフ』などの問題作、話題作を発表し、『できごと』('67年)『恋』('71)の2作はカンヌ映画祭でも受賞した。'84年死去。
● ジョセフ・ロージー/四つの名を持つ男
 『女優霊』『リング』そして『リング2』と今やジャパニーズ・ホラーの頂点に立ちつつある中田秀夫。彼のデビュー前か らの念願の企画だったのが、亡命直後のロージーの知られざる変名時代に光をあてたドキュメンタリーの制作だった。5年の歳月を費やしたロージーゆかりの人々への インタビューは、俳優(ジュリー・クリスティ、エドワード・フォックス、トポル)、スタッフ(ジェリー・フィッシャー、ハワード・コッチ)、家族(パトリシア・ ロージー)ら17人に及ぶ。ホラーとは一味違った真摯な姿勢に中田の意外な本質を発見しつつ、ロージーのドラマチックな人生を味わってほしい。

監督 中田秀夫
出演 ジュリー・クリスティ、エドワード・フォックス、トポル、ジェリー・フィッシャー、ハワード・コッチ、パトリシア・ロージー 他
撮影 マイケル・ロビンス
編集 フィリップ・テイラー
録音 ダイアナ・ラストン
音楽 イアン・バラミー
96年 83分


●非情の時 Time without Pity
 24時間後に死刑の迫った息子と、彼の無罪を信じ奔走するアル中の父。親子関係の喪失と再生を苦いサスペンスに描いた、ロージーの傑作。初公開。

監督 ジョセフ・ロージー
出演 マイケル・レッドグレイヴ、アン・トッド、レオ・マッカーン ピーター・カッシング 他
脚本 ベン・バーズマン
原作 エムリン・ウィリアムズ
撮影 フレデリック・フランシス
音楽 トリストラム・キャリー
美術 バーナード・サロン
57年 88分。


●エヴァの匂い Eva
 男を破滅させる魔性の女エヴァ(ジャンヌ・モロー)をドラマチックに描いた代表作の一つ。原作ジェームズ・ハドリー・チェイス。

監督 ジョセフ・ロージー
出演 ジャンヌ・モロー、スタンリー・ベイカー、ヴィルナ・リッジ 他
製作 レイモンド・アキム
脚本 ユーゴ・バトラー、エヴァン・ジョーンズ
撮影 ジャンニ・ディ・ヴェナンツィオ
音楽 ミシェル・マーニュ
62年 112分