アパッショナート Senza pelle


●アパッショナート Senza pelle
 官能的な魅力に輝く主婦ジーナ(『髪結いの亭主』のアンナ・ガリエナ)。明るくひたむきな彼女は人気者である。彼女を見つめ、追いかける一対の瞳があった。やがてジーナのもとに愛を綴った詩が届きはじめる。不倫の末、ジーナと結ばれ待ち望んだ愛息と三人の幸福な生活が少しずつ侵されることに不安を感じた夫は手紙の送り主を探し、精神障害の病をもつ上流階級の青年サヴェリオ(『愛のめぐりあい』のキム・ロッシ=スチュアート)をつきとめる。ジーナはストーカーと誤解されがちな彼の行動のなかの繊細な魂を信じる…。
 原題「皮膚がない」の意味するままに傷つき絶望する障害者サヴェリオ。家族や他者の目を通してでは決して救われることのない彼を救済するため周囲の非難を受けるジーナ。そして二人の交流に心を痛めながらも社会に目覚め始める夫リカルド(マッシモ・ギーニが好演)。交錯する感情によって平凡な生活に潜む孤独な心象をさめざめと描きだしてゆく秀作。イタリア映画。

監督・脚本 アレッサンドロ・ダラトリ
出演 キム・ロッシ=スチュアート アンナ・ガリエナ マッシモ・ギーニ 他
製作 マルコ・ポッチョーニ マルコ・ヴァルザーニャ
撮影 クラウディオ・コッレピッコロ
音楽 モーニ・オヴァディア アルフレード・ラ・コンセリャーツ
94年 87分