ミミ Mimi


● ミミ Mimi
 ギャスパー・ノエが監督し、彼の公私にわたるパートナーであるルシール・アザリロヴィックがプロデュースと編集を担当した『カルネ』(94年に名古屋シネマテークで公開)は、カルト的人気を得た。この作品に衝撃を受けたデザイナーのアニエスb.が、2人のプロダクションに資金援助をはじめ、『ミミ』が作られた。今回はアザリロヴィックの監督作品で、ノエが撮影監督とプロデュースを担当している。
 『カルネ』では不気味な赤が基調となっていたが、今回は黄色が象徴的に使われている。童話の“赤ずきんちゃん”ならぬ“黄色ずきんちゃん”である少女ミミは、母親が自殺未遂で入院してしまったために、ソランジュおばさんの所に預けられた。狭苦しい団地の小さな部屋。ミミのベッドは、さらに小さなクローゼットの中にある。澱んだ水槽に沈み込んだような生活が始まる。選ばれた色調、音、あるいは音の無さが、奇妙な緊張感をつくり出し、身勝手な大人たちに囲まれたミミの孤独を浮きあがらせる。

監督 ルシール・アザリロヴィック
撮影・制作 ギャスパー・ノエ
照明 ドミニク・コラン
美術 ウィリアム・アベッロ
録音 ファビアン・クリザノフスキー、オリビエ・ド・ヒュー
出演 サンドラ・サンマルチーノ、ミシェル・トゥリロ、デニス・シュロフェール
96年 52分