勝手にしやがれ A Bout de Souffle アタラント号 L'atalante


● 勝手にしやがれ A Bout de Souffle
 J=L・ゴダールの長編第1作にして、いまさら何かを述べるまでもなく、不朽の名作。1960年にはフランスの新人賞にあたるジャン・ヴィゴ賞を受賞している。フランスのチンピラとアメリカ娘とのクールな恋の顛末が、ベルモンドとジーン・セバーグによって軽やかに演じられる。成り行きで警官を殺してしまったベルモンドの破滅への転落とセバーグの冷ややかな表情が印象的だ。映画というメディアの語り口を熟知しながら、その約束事を軽々と反故にするゴダールの手際は、まさに知的確信犯としか言いようがない。

監督・脚色 ジャン=リュック・ゴダール
原案 フランソワ・トリュフォー
撮影 ラウル・クタール
出演 ジャン=ポール・ベルモンド、ジーン・セバーグ
59年 90分

● アタラント号 L'atalante
 セーヌ川を行き来する小船の船長のもとに嫁いだ若い娘は、退屈な水上生活に嫌気がさし、華やかな都会へと逃げようとするのだが…。見る人の心を打つ感動的なラヴ・ストーリー。かつてフランソワ・トリュフォーは、「『アタラント号』のなかには、『勝手にしやがれ』とヴィスコンティの『白夜』が同居している」というようなことを書いているが、若きヴィゴの傑作は、その後に作られたすべての映画とよく似ていると同時にまったく異なった作品でもある。傑出した存在だ。夭折の天才ヴィゴが身を削るようにしてこの映画を作った経緯についてはぜひとも『ヴィゴ』をご覧いただきたい。

監督 ジャン・ヴィゴ
出演 ミシェル・シモン、ディタ・パルロ、ジャン・ダステ
脚本 ジャン・ギネ
脚色・台詞 ジャン・ヴィゴ、アルベール・リエラ
撮影 ボリス・カウフマン
音楽 モーリス・ジョベール
製作 ジャック・ルイ=スネーズ
34年 101分