中国女 La Chinoise


● 中国女 La Chinoise
 今なお映画の最前線を走り続けている人、ジャン=リュック・ゴダール。1967年に作られ今回約30年ぶりにリバイバル公開される本作は、ゴダール自身の転回点となったと同時に、翌68年の五月革命を予見したと言われる、彼のフィルモグラフィの中でも一番の問題作だ。
 ソルボンヌの5人の学生が、ヴァカンスに出かけた知人のアパルトマンを借り、ひと夏を毛沢東思想の学習に費やす。彼らは“アデン・アラビア細胞”を名のり、毛沢東体操(!)をしたり、ティーチ・インを繰り返す。あとは実践だ。もっともテロルの計画は机上の空論、5人の理想は現実と対峙したとき、はじめてその空虚を、無力を、敵を、そして思想の真髄を鮮明にする。
 ゴダールのA・カリーナに次ぐ新しいミューズ、アンヌ・ヴィアゼムスキー、彼女に勝るとも劣らない存在感を示すジュリエット・ベルト(『セリーヌとジュリーは舟で行く』)、ヌーヴェル・ヴァーグらと共に生きたジャン=ピエール・レオ。3人を包むシンプルにして華麗な色彩と、機関銃のように放たれるコトバたちは、果たして今の時代にどう鳴り響くか。見逃せない97分。

監督・脚本 ジャン=リュック・ゴダール
出演 アンヌ・ヴィアゼムスキー、ジャン=ピエール・レオー、ミシェル・セメニアコ、レックス・デ・ブルイン、ジュリエット・ベルト 他
撮影 ラウル・クタール
録音 ルネ・レヴェール
編集 アニエス・ギュモ
67年 97分