ドレス The Dress de Jurk la Robe


● ドレス The Dress de Jurk la Robe
 P・ヴァーホーベンからイアン・ケルコフ。商業映画からアンダー・グラウンドまで様々なオランダ映画人の作品が紹介されるなか、ひときわ目をひくのは独特のキッチュな味つけだ。『ドレス』でヴェネチア国際映画祭受賞をとげたアレックス・ファン・バーメルダムもまた奇抜で露悪感たっぷりの、閉ざされた世界を覗きみるアブノーマルな楽しさを観客に与える。'52年生まれの監督は、小説家、デザイナー、俳優として本国で活躍中。新作『Kleine Teun(小さなトニー)』は98年度カンヌへの招待を受けた。本作の、古典ミステリーの傑作「月長石」を思わせるみごとな物語、ブニュエル・タッチのビザール感は、監督のマルチな経歴の結晶ともいえる。
 生地デザイナーのクレーマーは不運続きの日、街で出会ったインド人女性の服の柄をそのまま盗用して会社へ提出する。重役ティルト(アンリ・ガルサン)はデザインに異を唱えたため会社をクビになる。服飾デザイナー、デ・フェットは恋人とのベッドに豚を連れこみ逃げられる。怪しい男たちに作られたドレスが街へ出ると、様々な女の欲望に火がついてゆく……。

監督・脚本 アレックス・ヴァン・バーメルダム
出演 アリアーヌ・シュルター、アンリ・ガルサン、リッキー・クール
音楽 ヴィンセント・ファン・バーメルダム
撮影 マルク・フェリペラーン
96年 103分