恋の秋 Conte d'automne


● 恋の秋 Conte d'automne
 エリック・ロメール監督〈四季の物語〉シリーズ の完結篇。ローヌ渓谷の小さな農園でぶどう酒作りに打ち込んでいるマガリ(ベアトリス・ロマン)は、40代半ばの強気で陽気な女性。だが夫を亡くした彼女がうわべとは逆にとても孤独なことを知っている親友イザベル(マリー・リヴィエール)は、マガリに恋人を見つけようとある突飛な計画を実行に移す。ところが、マガリの息子の恋人のロジーヌ(アレクシア・ポルタル)の思惑も絡まって、事態はややこしくなる……。ロメールの語り口は78歳とは思えないほどますます軽妙で、若々しい。これまで同様、それぞれの思惑、恋の想いがウィットに富んだ会話や仕種の端々に表れ、思わずニヤリ!
 先の読めない展開に見入ってしまう。若い女優を配した前3作と違い、ふたりのヒロインはともにこれがロメール映画の6作品目のミドル・エイジ女優だが、「彼女たちは豊かな過去を持ち、未来に眼差しを向けている若者」とロメール。ふたりとも20代の女性も羨むほど若々しく、芳醇なワインのように味わい深い魅力で大人の恋を見せてくれる。112分。

監督・脚本 エリック・ロメール
出演 マリー・リヴィエール、ベアトリス・ロマン、アラン・リボル、ディディエ・サンドル、アレクシア・ポルタル、ステファーヌ・ダルモン、オーレリア・アルカイス、マチュー・ダヴェット、イヴ・アルカイス
音楽 クロード・マルティ
撮影 ディアーヌ・バラチエ
録音 パスカル・リビエ
編集 マリー・ステファン
98年 112分