●KAWASHIMA CLUB PRESENTS 花吹く風


 井上商事のタイピスト兼渉外係の美樹(紙京子)は美貌で驕慢な娘。同社の青年社員滝本(大木実!)だけが彼女を煙たがっていた。彼女は証券会社の専務石狩に好意を寄せていたのだが、そんな時、井上商事とその証券会社の間に提携話が持ち上がる。しかしその話には裏があった。問題に巻き込まれる美樹と滝本。この二人はいかに結ばれるのか。「奔放な情熱の処女が辿る思春期の危機」そして「恋と憂愁に忍び泣く涙の青春群像」を、川島雄三監督は得意としていた偶然の重なるメロドラマで仕立て、テンポ良く演出する。てきぱきとした現代(当時の)女性を美化し持ち上げていないところや、人物の性格のひねり具合は川島の後の仕事を予感させる。変な部長役として堺駿二が好演。91分。是非。

監督 川島雄三
脚色 八住利雄
出演 紙京子、大木実 ほか

1953年 91分


【カラー】