○60年代初めに突如ブラジルに現れた映画作家が世界を震撼させた。グラウベル・ローシャ。ひたすらアナーキーかつ天衣無縫に突き進んでいく独自の作風は、ジャン=リュック・ゴダールからも絶賛され、一躍時代の寵児となった。しかし、次第に強まる自国の軍事独裁を逃れ'71年出国。以後、スペイン、チリなどを転々としながら、'81年に43歳で世を去った。8月27日(土)より、その代表作5本を一挙上映します。スケジュール等詳細は次号で!(全作デジタル版) ●バラベント Barrvento 都会から故郷の村に戻った青年は、村に残る霊的慣習をやめさせよう奮闘するが……。“バラベント(激変)”の予感に満ちた長編第一作。79分。 ●黒い神と白い悪魔 Deus e o Diabo na Terra do Sol 領主を殺して逃亡しているマヌエロは、貧民を率いる戦闘的な黒人宗教家と出会い、行動をともにする。一方、教会や大地主達は、彼らを討伐するため伝説の殺し屋アントニオを雇うが……。'64年のカンヌを湧かせた、ローシャの出世作。一度聴いたら忘れられない主題歌も絶品の118分。 ●狂乱の大地 Terra em Transe 架空の国を舞台に、革命と反乱を描いた代表作。凝った撮影と幻想的な語り口が圧巻の、ローシャのパワーが沸点に達した傑作。107分。 ●アントニオ・ダス・モルテス O Dragao da Maldade Contra o Santo Guerreiro 『黒い神……』に登場した殺し屋が再び登場。真の敵を探すアントニオが辿り着いた場所とは……。西部劇とギリシャ悲劇、叙事詩とオペラが融合したかのような世界は、まさにローシャの独壇場だ。100分。 ●大地の時代 A Idade da Terra ブラジルの歴史とローシャ個人の人生をクロスさせ、壮大に描き出した遺作。「映画は、何でもありだ!」と言わんばかりの熱い作風は、今こそ真価を発揮するはず。153分。 |
2011
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