○年の瀬のシネマテークを飾る名物企画「自主フェス」。商業映画へのステップとしての自主映画、作品と作家の自由を守るための自主映画。あるいは、やっと見つけた表現方法への、プリミティヴな渇望の証としての自主映画。これから先、若い才能がどのように花開くかは、まぎれもない未知の世界。そして、その世界こそが新たに開かれる未来の映画の姿です。今年も様々な映画の未来の芽生えをお届けします。 Aプロ PFFグランプリ『シンク』以来、自主映画の可能性を探り続ける村松正浩監督の最新作品集。妹が兄の別人格を見る『兄兄兄妹』も女系家族の年老いた曾祖母を描く『グレイト・グランマ・イズ・スティル・アライブ』も、観客の目に見えているものと映画内現実とのギャップを巧みに突いた卓抜したアイディアが光る。計98分。 Bプロ ndjc特集+1@ 海難事故の過去を背負う男と少年。小さなイカダ作りの過程から、その微妙な関係をあぶり出す、三宅伸行監督の『RAFT』。『曇天クラッシュ』に先駆けて作られた『ロックアウト』は欠落した記憶の断片と抑え難い暴力性に怯える男(園部貴一)の内面を暴く。計110分。 Cプロ ndjc特集+1A 『曇天クラッシュ』は、保険金絡みの詐欺商法に手を染める父の姿に反発しつつ、夢破れ故郷に戻った自我を持て余す青年を描く。『ピュ〜ぴる』の松永大司監督の『おとこのこ』は、いじめに苦しむ中3男子とその友人の日常に寄りそう。突き抜けた描写が魅力。計60分 ※「ndjc:若手映画作家育成プロジェクト」は、次代を担う長編映画監督の発掘と育成を目的として文化庁よりVIPO(映像産業振興機構)が委託を受け実施しているプロジェクトです。この作品は、ndjcにおける製作実地研修により完成した作品です。 Dプロ 名古屋アートアニメーション・ルネサンス 名古屋芸術大学や名古屋学芸大学で映像を専攻する学科が増えてきたこともあり、名古屋での若いアニメーション作家の活躍、上映機会の充実は目覚ましい。今回は選りすぐりの作品から、素材もアイディアも、多様な表現の可能性が溢れでる。フォルムが変容する面白さが光る、村本咲監督の『ハトになるまで』、絵本から抜け出したような、佐藤美代監督の『部屋』など、短編作品13作品をお届け。計70分。 <B> Eプロ 昨年の自主フェスで上映した『にくめ、ハレルヤ!』と同じく「関西ゼロ年代映画祭」で注目された『−×−』(マイナス・カケル・マイナス)。生と死が交錯するイラク戦争の戦時下だった7年間を背景に、日常に浸食する死の影と、その影と相対する恐怖を自覚しつつ懸命に生きる姿を、伊月肇監督が重層的に描く。世代の異なる何組かの人々のエピソードを結びつけるタクシー運転手役で『鬼畜大宴会』の澤田俊輔が人間的な厚みを見せ、大人気アニメ『けいおん!』で話題沸騰中の声優寿美菜子が女子中学生役を好演。ブレイク直前の初々しさが魅力。保坂和志絶賛の120分。 |
2011 12/22
20:30〜 12/23
20:30〜 12/24
11:20 / 20:30〜
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