○ヌーヴェル・ヴァーグの末弟として16歳で早熟な監督デビューを果たしたフィリップ・ガレル。70年代には、アンディ・ウォーホルのファクトリーに出入りし、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドの歌姫ニコと恋に落ち、ともに美しい作品を残す。90年代以降は、ニコの突然の死を様々に変奏し、終始一貫して、強烈な「愛の誕生と喪失」の物語を描き続けている。 ●愛の残像 La Frontiere de l’aube カメラマンのフランソワ(ルイ・ガレル)は、映画女優キャロル(ローラ・スメット)と知り合い、恋に落ちる。しかし、彼女には夫が。奔放なキャロルに距離を置こうとするフランソワだが、それは、悲劇的な結末への第一歩だった。W・ルプシャンスキーのモノクローム画面に、センシティヴな物語が焼き付けられる。108分。 ●灼熱の肌 Un ete brulant 俳優志望の青年ポールが、天才肌の画家フレデリック(ルイ・ガレル)に誘われる愛の迷宮。フレデリックの妻は美しい女優アンジェル(モニカ・ベルッチ)。クラクラと目眩がするように錯綜する愛の物語は、ゴダールの『軽蔑』へのガレルなりの返答か? 父モーリス・ガレルの出演した遺作にして、脚本は妻カロリーヌが執筆。親子三代が集っても、キリキリしたガレルの映像世界に惰性はない。95分。 |
2012
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