○ジョン・カサヴェテス 俳優・映画監督として活動。大手スタジオの論理と合わず、干されることも。それ故、資本の介入を許さないインディペンデントスタイルで、気心の知れた仲間との自由で親密な映画作りを好んだ。生涯のパートナー、ジーナ・ローランズは今も活躍中だが、カサヴェテス自身はもちろん、ピーター・フォーク、ベン・ギャザラも世を去った。しかし、彼らのスピリットは世界中の映画に関わるものに受け継がれている。 ●アメリカの影 Shadows 初監督作にしてインディペンデント映画の金字塔。マンハッタンの若者群像を即興で演出した。公開当初は無視同然だったが、徐々に話題沸騰。その才能の凄まじさをジョナス・メカスと黒澤明という対極の存在が支持した。82分。 ●フェイシズ Faces 濃密な36時間を描く、珠玉のモノクローム作品。関係の破綻したアメリカ人夫婦をG・ローランズとジョン・マーレイが、しびれるような演技で体現する。130分。 ●チャイニーズ・ブッキーを殺した男 The killing of a Chinese Bookie 寂れたナイトクラブオーナー(B・ギャザラ)が、借金にまみれ暗黒街の事件に巻き込まれていく。カサヴェテス作品では珍しい、フイルム・ノワール的な異色作。134分。 ●オープニング・ナイト Opening Night 華やかな日々を送る有名舞台女優(G・ローランズ)が、忍び寄る「老い」に苛まれる心理サスペンス。一瞬後に何が起きるか全く判らないスリリングな展開は、演技のテンションを大切にしたカサヴェテス作品の真骨頂。カサヴェテス夫妻が唯一夫婦役で共演した作品。144分。 ●こわれゆく女 A Woman Under the Influence 精神のバランスを失いかけた妻(G・ローランズ)と彼女を必死で支える夫(P・フォーク)の壮絶な愛の物語。この作品なくして『パリ、テキサス』は生み出されようもない! 復元ニュープリント上映。147分。 ●ラヴ・ストリームス Love Streams かつては良き妻であり母であった姉(G・ローランズ)は離婚調停に疲れ、人気作家の弟(カサヴェテス)は奔放な生活を続けるが、すでにふたりとも互いしか頼る相手はいない。エキセントリックな事件と展開に凝縮される家族の信頼をめぐる物語は、カサヴェテス作品の集大成とも言えるかもしれない。ニュープリント上映。141分。 |
2012
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