〇1950年代半ばから60年代にかけて大きなムーヴメントを起こしたポーランド映画。今回は、イエジー・スコリモフスキ監督の監修のもと、著名作から初公開の知られざる傑作まで、全15作品をお届けします。 ★ポーランド派を代表する監督と言われながら、若くして世を去ったアンジェイ・ムンク。残された長編5作の中から、退職鉄道技師を主人公にした出世作鉄路の男(89分)、ワルシャワ蜂起の内実を深い人間洞察とともに描いた傑作エロイカ(87分)、激動の時代を生きる男の悲劇の物語不運 (112分)を上映。巨匠アンジェイ・ワイダの作品からは、迷路のような下水道での攻防戦を、息詰まるタッチで描いた地下水道(96分)、戦争中はレジスタンスとして活動し、戦後はテロリストとなった青年を主人公にした代表作灰とダイヤモンド(102分)、スコリモフスキが脚本を担当した異色の青春群像夜の終りに(87分)の3作。ワイダと並んでポーランド映画の名を高めたイエジー・カヴァレロヴィッチは、疾走する列車に乗り合わせた人々の人生模様を大胆なカメラワークで追った夜行列車(100分)と、修道院での悪魔払いを超現実的な美しさの中で描いた傑作尼僧ヨアンナ(108分)。ロマン・ポランスキーは、偶然居合わせた裕福な中年夫婦と貧しい青年のバカンスを、シニカルに、シャープに描いた初期の代表作水の中のナイフ(94分)。『砂時計』で知られるヴォイチェフ・イエジー・ハスは、女性の視点を通じて戦争の不条理にせまった愛される方法 (97分)と、ブニュエル、リンチ、J・ガルシアらを熱狂させた、17世紀を舞台にした愛と冒険の迷宮譚サラゴサの写本(182分)。近年、再評価の声が高いカジミェシュ・クッツは、後のヌーヴェルヴァーグに通じる鮮烈なタッチが目を奪う、逃亡兵と若い女の恋物語沈黙の声(80分)と、戦下の地方駅の“ある1日”を、徹底したリアリズム描写で描いた列車の中の人々(98分)。ポーランド文学を代表する作家でもあるタデウシュ・コンヴィツキは、戦争で心を病んだ男と、恋人を失った女の出会いを瑞々しいタッチで描いた夏の終りの日(66分)。『灰とダイヤモンド』で主人公役を演じ、神話的存在となったズビグニェフ・ツィブルスキが脚本・主演し、ヤヌシュ・モルゲンシュテルンが監督した、知られざる傑作さよなら、また明日(88分)。 |
2013
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