○ベルナルド・ベルトルッチ 鬼才ピエル・パオロ・パゾリーニの助監督として映画の仕事を始め、『暗殺の森』『ラスト・タンゴ・イン・パリ』『1900年」『ラスト・エンペラー』などなど、壮大で美しい作品を世に問い続ける、現代イタリア映画の巨匠。日本での上映がほとんどなく、原題のままの『パートナー』というタイトルが囁かれるのみで、幻の傑作扱いだった監督第3作『ベルトルッチの分身』公開を記念して、監督デビュー作『殺し』と第2作『革命前夜』を合わせてお届けする初期傑作選! 20代にして、すでにこの美しき完成度! 驚きです。 ●ベルトルッチの分身 Partner ドストエフスキーの同名原作を大幅にアレンジ。大学の演劇クラスで教える青年ジェイコブ(ピエール・クレマンティ)は、ある日自分の内面に抑え難い別の存在を感じる。内気な彼の中にふくれあがる冷酷な殺人衝動。憧れの女友達(ステファニア・サンドレッリ)の誕生パーティーでは、思いがけず奇行を繰り返し、会場を追い出されてしまう。よりエスカレートして分裂して行く人格を、実験的な手法と繊細な演技が描き出す、印象深い作品。109分。 ●殺し La Commare Secca パゾリーニの『乞食』の助監督についた後、パゾリーニの原案を元に21才で監督した、ベルトルッチのデビュー作。ローマ郊外で殺害された娼婦。次々に事情を聞かれる関係者からは異なる証言が噴出する。彼女を殺した犯人は誰で、いったい何が起こったのか? 黒澤明の『羅生門』を彷彿とさせるドラマ構造を、無名の俳優を起用して描くダイナミックな演出が、若きベルトルッチの強烈な野心を感じさせる。92分。 ●革命前夜 Prima Della Rivoluzione スタンダールの「パルムの僧院」を基にした自伝的作品。ブルジョアの家庭に生まれながら、左翼思想にかぶれる若者ファブリツィオ。革命を夢見て、同じくブルジョワ階級のフィアンセとの婚約を破棄しようとしたり、親友の死に直面して強いショックを受け、理想と現実の間で悩む若者の姿は、ベルトルッチ自身の内面を連想させる。40年の歳月を経て作られた、5月革命がモチーフの『ドリーマーズ』と見比べる楽しみを誘ったりもする112分。 |
2013
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