○レフ・クレショフ(1899〜1970) 1918年に最初の監督作品『ブライト技師の計画』を発表。革命直後のソビエトで世界初の国立映画大学の教授となり、クレショフ工房と呼ばれるワークショップで、後進の育成にあたる。フセヴォロト・プドフキンやボリス・バルネットが門下生として著名。「クレショフ効果」に代表されるモンタージュ理論を構築し、セルゲイ・エイゼンシュタインにも強い影響を与えた。映画の黎明期に理論的な礎を築いた存在といえる。 A ●ボリシェヴィキの国におけるウェスト氏の異常な冒険 Необычайные приключения мистера Веста в стране Большевиков アメリカ人のウェスト氏は、社会主義者による悪魔の国とされるソビエトの実情を確かめるべく、カウボーイのジェディ(ボリス・バルネット)を用心棒にソビエト旅行。そんな彼を狙う詐欺師一味が現れ、次から次へと珍妙な事件が発生するのだが……。アメリカ人の先入観を巡る、見せ場満載の風刺コメディー。73分。 B ●掟によって По закону ゴールドラッシュにひかれて、アラスカのユーコン河畔にやってきた男4人と女1人の一行。苦労の末に鉱脈を発見したデニンは、他の仲間から馬鹿にされていると思い込んで、2人を殺してしまう。なんとか彼を取りおさえたハンスとエディス夫妻は、デニスを法的に裁こうとするのだが、川の氾濫は彼らを小さな小屋に閉じ込める。ジャック・ロンドンの原作をダイナミックな風景で映画化した一編。80分。 C ●二人のブルディ Два-бульди-два ロシア革命の揺り返しともいうべき白軍の蜂起により、内戦に揺れるソ連建国初頭。小さな街のサーカスで人気者の老道化師ブルディ。彼の夢は、息子に跡を継がせ、観衆を楽しませることだったが、若いブルディは、革命運動に夢中だ。内戦が進み、彼らの街にも白軍が。逮捕される息子ブルディ。奇しくもそれは、彼のデビュー前日だった。老ブルディは、息子を助けるために一計を案じるのだが……。駆ける馬の躍動感と終盤のアクションシーンは、まさにクレショフ的モンタージュの白眉! 65分。 |
2013
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